お金は労働の対価ということを教え込む
「どうやって自立をさせるのか。」
ということについては、本当に考えた。
「経済的にも、社会的にも、ひとり立ちする。」
ということを自立というならば、こんなに頑張ってきたのに、娘の自立は達成されていません。
でも、「その子なりの幸せがあればいいのかも。」と今は考えています。
「自分で、自分の生活費のすべてを、働いて稼ぐ。」というのはとても難しい。
仕事自体も難しいが、仕事以上に人間関係が難しい。
人間関係を築くことができない。
仕事をするというのは、目に見えない山のようなハードルを越えていかなければならない。
例えば
「昼休み、何をしゃべればいいの。」
「だれがお局さんで、絶対服従なの?」
こんなことだ。
こんなこと、娘にわかるわけがない。
サポートをしてくれる人が、絶対必要だ。
でも、そういう人は、なかなか見つからない。
仕事については苦戦していることも多いが、
小さいころから、一生懸命に教えてきたことがある。
それは「お金は労働の対価」ということだ。
中学生のころ
「いつか、お母さんを楽にしてやるからね。」
と言ってくれたことがあった。
叩きのめされるような毎日だったので、そのひと言がとてもうれしく、
相談機関で「この間、こんなこと言ってくれたんですよ~。」
と話した。
すると、相談員の方が
「自閉は、そういうこと言いがちなんですよ。
でも、お金の使い方がうまくいかなくて、
働いたお金を、全部使った上、消費者金融から借金したり、
年金みんな使っちゃったりする人も結構いますよ。気をつけてくださいねー。」
と言われた。
今になってみれば、本当に、ありがたいアドバイスだ。
でも、その時は
「もっと他に言い方ないんかよ。
私は日々打ちひしがれている母なんだよ。
ここは相談機関じゃないんかーい。」
と思っていた。
確かに娘は
「持っているお金は、欲しいものがあれば、全部使ってしまう。」
というところがあった。
「おばあちゃんから2000円もらったら、
その足で、雑貨屋に行って、何かを買ってきてしまい、
物の管理は苦手なので、せっかく買ってきたのに、
すぐにその辺に放り投げてある。」
という感じだった。
やばいと思って、
お金について、とにかく教えて込んできた。
といっても、こずかい帳はどんなに頑張っても無理だった。
でも、今は、技術革新の恩恵にあずかって、
何とか「こずかい帳問題」も解決に向かいつつある。
「こずかい帳問題」をどうやって解決し方については、後日書いてみたいと思う。
「お金」について、どんなふうに教えたかというと
「決まったおこずかいは、あんまりあげない。」
そのかわりに、
お手伝いをしたら、100円位のおこずかいを渡し、お金は働いて手に入れるものだということを教え込んだ。
そして、100円ショップに一緒に行って、100円分の労働が、どんなものと交換できるのかということを教え込みました。
こんなこともしました。
夏祭りで、おじいちゃんからもらったおこずかいで、娘が1,000円の綿あめを買おうとしていたら、
「今さー、ここで1,000円の綿あめ買ってもいいけどさー、
100円ショップに行けば9個好きなものが買えるよー。
よーく考えた方がいいよー。」
と耳元でささやいたのです。
もう、祭りを楽しむどころではありません。
発達障がい児を持つ母は、いつだって必死です。
とこんな感じで、「お金は労働の対価」ということと、
お金の使い方を、鬼のように教えてきました。
(鬼のようではなくほぼ鬼。だから、はたから見たら「愛情不足」と言われがち。)
この間、
娘と、めずらしくかわいい雑貨屋さんに行った時
私が「かわいい~。かわいい~。」を連発し、いろいろ買おうとしていると、
娘が、
「本当に必要なの。久しぶりだからテンションあがっているだけだよ。
よーく考えた方がいいよ。」
と、ひと言。
「うおおおおおおー。このひと言はああああああー。」
これって、もしや、むくわれた瞬間ってやつ?
ということがありました。
でも、発達障がい児は、こんなことで
「私の努力がむくわれたー!」
なんて喜んでいたら、それはもう
「ぬか喜び」
「足らぬ狸の皮算用」
です。
次は、こんな問題が起こるのです。
「ほどほど」と「応用」とうのが、娘にはとても難しい。
スーパーのイートインコーナーにあるマックで、友達とご飯を食べるときに、こんなことがありました。
友達はマックのセットを頼んでいるというのに、
「自分はスーパーから、一番安い缶入りの飲み物と、安いパンを買って食べる。」
という
「友達をドン引きさせる」
ということをやらかしました。
確かにコストパフォーマンス的には素晴らしい。
花丸かもしれない。
でも娘よ、そうじゃないんだよ。
友達は欲しいのに、なかなか友達ができず、
一緒に買い物をして遊ぶということが、あんまりない娘。
「友達と一緒にお出かけする。」
と聞いて有頂天になって、おこずかいを奮発した私。
そのおこずかいで、前から欲しいと思っていたものを、買おうと思った娘は、
昼食を「最大のコストパフォーマンス」でいった模様です。
こんなところにも高いハードルがあったとは。
「分け入っても分け入っても青い山」
「山頭火先生、どうして私の気持ちがそんなにわかるの。」って感じです。
「自分1人の食事だったらそれでいいけど、誰かと一緒に食事をするときは、
相手と同じくらいのもの(←ここで量と値段についての言及も当然必須です。)を
食べるといいんだよ~。」
とアドバイスしてみましたが、
まあ応用はきかないだろうな。
あー。
「普通を教える」のって大変すぎ。
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